筋肉の熱生産とダイエット

原理・原則

はじめに

筋肉はエネルギーを消費して熱を生み出します。熱を生み出す量が多ければ多いほど、エネルギー消費も大きくなりますので、ダイエット効果も高まります。
また、筋肉を増やしてより熱を生み出すことができることは、寒さに強い体になり冷え性の改善にもつながります。

人間の体温は通常約37℃前後で、基本的には外気温より高い温度ですから、体内では体温をキープするために常に熱が発生しています。
熱が発生するということは、エネルギーを消費していることになりますので、熱を多く発生させることは消費カロリーの増加につながります。

人間の体には熱を作り出す仕組みが複数存在しています。

震え熱生産

寒いところへ行くと体が勝手にブルブルと震えることがあると思います。これは筋肉を収縮させて熱を発生させて体温を維持しようとする現象です。
実際に筋肉を震わせる運動をして熱を発生させていますので「震え熱生産」呼ばれます。

しかし、人間の体には震えるような運動をしなくても熱を発生させる仕組みがあります。これは「非震え熱生産」と呼ばれ、以下のような仕組みが存在します。

褐色脂肪

褐色脂肪組織は熱を作ることが専門の脂肪組織です。脂肪をエネルギー源として燃やすことで熱を生産しています。

褐色脂肪細胞は、エネルギーを生産するミトコンドリアという器官が多く含まれており、このミトコンドリアが赤っぽい色をしているため、全体として褐色に見えることから、このように呼ばれています。
それ以外の脂肪細胞はミトコンドリアが少なく白っぽく見えるため、白色脂肪と呼ばれます。

褐色脂肪は、クマやリスのような冬眠をする動物に多く見られます。

ダイエット関連の情報の中でも、褐色脂肪がキーワードになっていることが多いのでご存じの方も多いと思います。人間の体には40g前後存在すると言われていますが、実際どの程度体温生産の役に立っているかは、まだわかっていません。むしろ、体重の約40%を占める筋肉の方が体温生産に寄与していると考えられています。

UCP(脱共役タンパク質)

ミトコンドリアに存在するUCP(脱共役タンパク質)が、褐色脂肪組織や筋肉で熱を発生させるという仕組みを持っています。

UCPはミトコンドリアの中で、脂肪を分解して得たエネルギーからATP(筋肉を収縮させるエネルギー)を合成するシステムのつながりをカットします。つまり、ATPを作らないため、筋肉の活動なしに熱を作り出します

UCPは、褐色脂肪や筋肉に含まれています。1gあたりの熱生産量で比べると、褐色脂肪の方が高いのですが、全体でみると筋肉の方が圧倒的に量が多いためより多くの熱を生み出しています。

そして、UCPは遅筋繊維より速筋線維に多く含まれています。
筋トレによって速筋線維が増えると、UCPが熱を生み出す能力も高まり、じっとしているだけでもエネルギー消費が増えていくことになります。

また、遅筋繊維はUCPが少ないため、熱の生産は大きくありません。
遅筋繊維は長時間の運動を行うために、効率的で燃費の良い筋肉のため、熱生産で無駄なエネルギーを消費しません。
有酸素運動でダイエットをした人は、熱生産によるエネルギー消費の増加の恩恵を受けられませんから、その運動をやめてしまったときに太りやすいとも言えます。

サルコリピン

サルコリピンは比較的最近注目されているタンパク質です。

筋肉の中には、筋小胞体というカルシウムをため込んでいる組織があり、筋肉が収縮するときにはカルシウムを放出して、弛緩するときにカルシウムを戻すという仕組みを持っています。
サルコリピンは筋小胞体からカルシウムを放出します。そうすると、筋小胞体は放出されたカルシウムを戻すためにATPを消費します。筋肉の収縮と弛緩という活動がなくATPというエネルギーが使用されるので、運動がなくても熱が発生します。

サルコリピンを増やす方法は現時点では見つかっていませんが、筋肉の中に存在しますから、筋肉を増やすことで比例してサルコリピンも増えていくと考えられます。
筋肉を増やすためには適切な強度のウエイトトレーニングが有効です。

筋肉がより熱を生み出すようになれば、寒さに強い体になることができ、冷え性の改善にもつながるります。

筋肉の熱生産とダイエット

筋肉が熱を生み出すということは、それだけエネルギー消費が増えることになります。

筋肉が増えれば基礎代謝が上がるということはかなり前から言われていましたが、実際にはサルコリピンによって熱として消費されることでエネルギー消費量が増えることが要因ではないかと考えられています。

筋肉が増えてサルコリピンが増えれば、ただじっとしているだけでも熱を発生させるためにエネルギーが消費されるため痩せやすくなります。
そのために筋肉を増やすことが重要です。筋肉を増やすためには速筋線維を刺激して筋肥大させることです。

筋肥大については下記の関連記事でも解説しています。

さいごに

筋肉がより多く熱を発生させれば、エネルギー消費量が上がります。そして、これは運動しているときだけでなく、ただじっとしているだけでもより多くのエネルギーが必要になるということです。

有酸素運動は、その時だけで見ればエネルギー消費量が多いですが、1日全体のエネルギー消費量の割合で言えばそれほど多くはありません。(あまりにも長時間の有酸素運動というのは現実的ではないので)

安静時のエネルギー消費量を増やすために筋肉を増やすことは、より効率的にダイエットを進めることが出来るようになります。

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